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正しい呼吸と姿勢

今のお子様をむしばんでいる、呼吸の問題

人間が生きていく上で最も必要なのは、タンパク質でも炭水化物でも、脂質でもありません。
酸素です。
食事は何日も摂らなくても、水さえあれば生きていけますが、酸素は数分取り込めなくなっただけで、死に至ります。
従って、健全な呼吸を保つことが、生涯の健康を大きく左右します。

ところが近年、この「健全な呼吸」が出来ない子どもたちがどんどん増えてきています。
そして、呼吸に問題のある子どもたちは、多くの場合歯ならびやかみ合わせに悪影響を及ぼします。

舌と唇の機能異常

歯ならび・かみ合わせ異常の原因として、近年重要視されているのが 舌と唇の機能異常です。
しかし、実はこの問題は歯ならびだけの問題ではなく、同時に・あるいは将来的に、様々な健康上の問題を引き起こすことが分かってきました。

口をポカンとあいたまま・口呼吸

最近、口をぽかんとあいたままテレビを見ているお子様が 多いようです。 また、私(さくら歯科院長)が出張で東京など大都市に行ったとき、 周囲の人の口元を観察していると、口を開いて歩いている人が 非常に多いことに気づきます。 特に、子供にその傾向が強いようです。

口を開けたままにしてしまう原因は

・妊娠に対応した身体になっていないのに妊娠する
・妊娠しているときの母親の姿勢
・乳児期の抱っこの仕方
・乳児期の授乳の仕方
・乳児期の寝かせ方
・乳幼児期の歩行に至る過程
・離乳食の与え方
・姿勢が悪い
・食事をよく噛んで食べない

など、主に就学前の問題の影響が大きく、一旦口がポカンと開いた状態になってしまうと、それを治すのには大変な努力と、時間が必要です。
しかも小学校中学年までに機能を治しておかないと、お口の機能を正しくするのは難しく、たとえ一旦よくなったように見えても、“後戻り”(機能が悪い状態に逆戻りしてしまうこと)を起こしてしまいます。

つまり、お口の機能を治すには、なるべく早期に問題を見つけ出し、治療することが重要です。
しかしそれよりも大切なのは、悪くなりかけたときに問題を発見し、更に言えば問題が起きないように予防することが、最も大切です。

口呼吸の影響

口を開いているお子様は多くの場合、口で呼吸しています。
鼻で呼吸することは、人間にとってものすごく重要です。 鼻で呼吸することにより、

・ 空気が加湿、加温される
・ 脳が冷やされる
・ ゴミ等が除去される
・ 侵入してくる外敵をやっつける抗体を作る指示を出す

など、様々な処理が行われ、扁桃で身体に悪影響のある物質処理の 仕上げが行われます。

ところが、口で呼吸するとこれらの処理がされないまま空気が扁桃に達し、 扁桃はその処理のためパニックになってしまいます。 従って、矯正治療に訪れるお子様の多くは扁桃が腫れています。 その結果アトピー・喘息・将来的にはリウマチなど、様々な病気が起こる場合があります。

人間は鼻で呼吸することによって、脳を冷やしています。 口で呼吸すると脳の冷却が不十分となり、知能の発達に影響が出ると、口呼吸に注目している内科や耳鼻科の医師が言っておられます。
また、身長や精神発達にも影響するとも言っておられます。

もしご自身のお子様が口で呼吸しているようであれば、 是非鼻呼吸に治すべきです。
そしてそのことが、歯ならびやかみ合わせにもよい影響を与えます。

睡眠時無呼吸・呼吸障害

歯ならび異常はあごの発育不良が原因ですが、あごが小さいと舌が後方に追いやられ、仰向けに寝ているときに舌が気管を圧迫します。また、舌が本来の位置より低い位置にある「低位舌」も、気管を圧迫する要因となります。
する『睡眠時無呼吸』や『呼吸障害』を起こします。

専門的な話になりますが、睡眠時無呼吸は

・軟口蓋レベル
・喉頭蓋レベル
・喉頭

の3カ所の何れかあるいはそれらが同時に閉塞して起こります。
睡眠時無呼吸の治療として有名なCPAP(鼻に装着したマスクから空気を送りこむ方法)は、喉頭蓋レベルで起こる睡眠時無呼吸には効果がありません。
一方、歯に装着する口腔内装置は、これらすべてに有効です。
歯に装着する装置は、下の顎を前方に固定する、つまり舌が前方に位置することにより、気道の閉塞を防ぐ方法です。下の顎が前方に位置すれば気道の閉塞が治ると言うことは、逆に下の顎が後方に下がってしまうと、この3つすべての閉塞要因になる、と考えられます。
従って、成長期に顎を正常に発育させる「口腔育成」が、一生の健康を左右すると言っても過言ではないのです。

睡眠時無呼吸は、重度の睡眠時無呼吸になると心筋梗塞、脳卒中などの心臓・血管の病気発生率は12年間で33%に上りますが、睡眠時無呼吸の治療をすると7%にできる、という論文(M Marin et al ; Lancet ; 365 : 1046-1053 2 005)があります。
逆に、睡眠時無呼吸にならなければ、これら病気の発生率はこれほど高くならないでしょう。

睡眠時無呼吸は他にも様々な病気を誘発することが分かってきており、それを防ぐためにも正常なあごの発育を促す口腔育成が極めて重要です。

正しい姿勢

よい歯ならび、正しい呼吸は姿勢から
正しい姿勢は妊娠時から
よい歯ならび・かみ合わせを実現するためには、正しい呼吸、即ち鼻呼吸が必要です。
鼻呼吸を確立するためには、常に上下の唇が完全にくっついた状態(口唇閉鎖)が必要です。
ところが、姿勢が悪いと、口を閉じるのが難しくなります。

じつは、足の先から舌まで、「筋膜」でつながっています。
そのため、姿勢が悪いと舌が後下方に引っ張られ、その結果、口も閉じられなくなってしまいます。
それが原因で口呼吸になってしまい、その結果歯ならびやかみ合わせが悪くなっているのです。
(詳細は、「健康な歯ならびへ」「正しい呼吸へ」を参照)

実際、当院に歯ならび治療を希望して来院されるこども達は、ほぼ確実に姿勢がよくありません。
つまり、姿勢を直すことは、安定した歯ならびを得るためにどうしても必要なこと、と言えるでしょう。

姿勢が悪くなった原因

近年の日本人の子ども達に姿勢の悪い子が増えてきています。
その確実な原因は分かっていませんが、様々な要因が関係している、と考えられています。
1) 乳児の時点での育て方
乳児の時点で、

・ 靴下を履かせる
・ ずりばいやハイハイを十分な期間行っていない
・ 早く歩行しすぎる
・ 靴の影響
・ 上記原因で、足指の形に悪影響が出ている

などが理由となって、姿勢が悪くなる可能性が指摘されています。
2) 生活習慣
現代のこども達の生活習慣も、関係性があると思われます。

・ 外で遊ばなく(遊べなく)なった
・ スマホやゲームをしている時間が長くなった
・ だらだらした姿勢を親が厳しくしつけなくなった
3)足の指の変形
足の指は、本来きれいな「パー」の形をしていなければなりません。
ところが、靴下や靴の影響などで、日本人の足指は、殆どの型が変形しています。
それは子どもたちも同じです。
足が歪んでいると、姿勢が傾いたり、ひねりを生じたり、O脚などの原因となります。
足元は、建物で言えば基礎に当たる部分。
まずここを整えることが必要だと、当院では考えています。

足指を整えるためには

・サポーターソックスをはく
・靴を正しく選ぶ
・足指の体操を行う

ことが有効です。
特に靴の選び方を誤っている人が非常に多く、注意が必要です。


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