赤ちゃん歯科
1.赤ちゃん歯科とは
はじめに
赤ちゃんは、通常月齢4~7か月くらいで歯が生え始めます。
生えてからも、よほどのことがない限り1歳くらいまでむし歯になることはありません。
多くのお母様は、そんな時期に歯医者へ赤ちゃんを連れて行く、という意識はないと思います。
にもかかわらず、そんな赤ちゃんを対象にするのが、『赤ちゃん歯科』。
近年歯科界では、この『赤ちゃん歯科』が歯科の一分野として認識されるようになってきました。
なぜむし歯とは縁遠いこの時期に、『歯科』なのでしょうか?
一生を大きく左右する、赤ちゃん時代
赤ちゃん時代は、一生のうちで最も成長発達の度合いが大きい時期です。
下の図は、『スキャモンの発育曲線』です。
スキャモンの発育(発達)曲線とは、であるScammon(アメリカの学者)が発表した人間の発育曲線で、20歳を100%としてその成長度合いを一般型・神経型・リンパ型・生殖型に分けてグラフにしたものです。(上図では生殖型は省略)
この中で、神経型は6歳までに急激に発育し、その後は緩やかな発育にとどまります。
歯を支える上下の顎のうち、上顎の発育は“神経型“、下顎の発育は”一般型”に属すると言われています。
ただし、1歳までは顎の前方成長の率は、下顎骨の方が大きい、というデータもあります。
したがって、あごの成長は1歳までに決定づけられると考えるべきである、と さくら総合歯科院長は考えています。
ということは・・・・赤ちゃんの時期を過ぎてからでは歯を支えるあごの成長を正常に導くのは難しく、遅れを取り戻すための様々な訓練や、装置の使用が避けられなくなってしまう、即ち“歯ならび・かみ合わせの異常の予防”にとっては遅すぎる、と考える小児歯科医が増えてきました。
そんな小児歯科医たちが赤ちゃんの時期から歯科医院に来院してもらい、様々なアドバイスをすることが必要と感じ、それが『赤ちゃん歯科』を提唱するようになった主な理由のひとつと思われます。
第二頚椎の異常
某大学の名誉教授が、膨大な数のレントゲンを分析した結果、姿勢や呼吸、口腔機能に問題のある子ども(成人)の第二頚椎(頚の骨の上から二番目)に変形が認められることを発見しました。
その先生は、第二頚椎の変形があると、姿勢をよくすることが難しく、その後の歯ならび治療の経過を悪化させたり、呼吸や姿勢を悪化させる場合があることを危惧しておられます。
第二頚椎の変形の原因はまだ分かっていません。
胎生期の胎児の胎内姿勢が原因であるという説や、生後の外傷が原因である、という説などがありますが、まだ証明はされていません。
何れにしても、2歳までには何らかの原因があることはほぼ確実なので、その時期にいかに問題を起こさないようにするかを事前に知っておくことが重要です。
2.赤ちゃん歯科って、何をするの?
それでは、赤ちゃんに対して歯医者で何をするのでしょうか?
赤ちゃん歯科で行うのは、子育てにとって重要な4つのS(息育・食育・足育・手育)をはじめとした、発育発達支援です。
『子育ての4S』についてはこちらのページをご覧下さい。
(1)抱っこの仕方、寝かせ方
赤ちゃんは、母親のお腹の中では丸まっていました。
したがって、生まれてしばらくの間は、丸い姿勢を保たせることが必要です。
抱っこのとき、または寝かせているときに丸い姿勢を取っていないと、口がポカンと開いた状態になるのでは、と考えられるようになってきました。
さくら総合歯科では、赤ちゃんの抱っこの仕方や寝かせ方について、アドバイスしています。
(2)授乳についてのアドバイス
母乳や人工乳を与えるとき、知らず知らずのうちに赤ちゃんにとってかなり無理な姿勢になっていることに、多くの母親は気付いておられません。
母乳の飲みが悪い、乳首が痛い、乳腺炎などが、実は赤ちゃんが母乳を飲むときの姿勢が影響していることがあります。
そこで、四日市のさくら総合歯科では、母乳を与える際の注意点、人工乳を与えるための注意点について、簡単に説明します。
(3)発達を助けるためのアドバイス
正しい発達段階をふむことが、体の機能を正しく発育させることにとって重要です。
食べるためにはお口の機能のみならず、手や頸の発達も関係します。
発達の遅れのみならず、左右差、早く次のステップに進みすぎるなども、健康的な成長の阻害要因となる場合があります。
さくら総合歯科では、これらの発達について、基本的なアドバイスを行います。
(4)はじめる前からの離乳食指導
離乳食は、実はどのタイミングではじめるかが特に重要です。
日本人は真面目なので、厚生労働省の定めた指針通りに離乳食を進めようとする傾向があります。
また、同じ月齢の子が離乳食を開始していると、焦って自身の子どももはじめてしまうこともある様です。
離乳食を食べるためには、体の機能が十分に発達していることが極めて重要。
決して焦ったり、月齢を基準に開始してはいけません。
そのためには、離乳食を開始する前の時期に、離乳食について勉強しておく必要があります。
(5)むし歯予防に必要な知識教育
むし歯予防には都市伝説が多く、本当に正しい知識はネットではなかなか入手できません。
例えばお箸や箸の共有をしなければむし歯予防になる、と言うのも都市伝説。
仕上げ磨きについても同様。
詳しくは、三重県のさくら総合歯科で説明しています。
(6)口呼吸の問題に対する対処
口呼吸は、むし歯(特に上の前歯)のリスク要因です。
また、口呼吸は歯ならび・かみ合わせの異常の原因となります。
いったん口呼吸になってしまうと、年齢が高くなればなるほど治すのが難しく、また、治すのに時間もかかります。
なぜなら、口呼吸のためあごの成長や舌の機能の正常な成長が妨げられ、より口呼吸しやすい状態になっていくからです。
とにかく、少しでも早く対応することが大切なのです。
(7)歯ならび・かみ合わせの異常予防のためのアドバイス
歯ならび・かみ合わせの異常は口呼吸以外にも様々な要因により起こります。
寝相・食事・日頃の姿勢など、要因は様々です。
寝相が悪いのは、呼吸に問題がある場合がほとんど。
うつ伏せ寝やゴロゴロ動き回るのが特に問題です。
呼吸の問題については、上に書いた方法の組み合わせで改善を試みます。
ただ、それで解決できない状態の場合、(当院では行いませんが)特殊な手術をご提案させていただく場合があります。
手術については、当院に通院中の方で適応になりそうな方のみに説明しておりますので、ほとんどの方には説明しておりません。
(手術について、お電話でのご質問はうけたまわっておりません。)
また、今後日常生活で行ってしまう可能性がある、歯ならび・かみ合わせが悪くなる原因についてあらかじめ説明しておき、「もっと早く知っておけばこんなことさせなかったに!」と後悔するのを防ぐ取り組みも行っています。
お問い合わせ
通院中以外の方のお問い合わせは、さくら総合歯科Facebookのメッセンジャーにてお願い致します。
通院中の方は、お電話でお願い致します。
お電話は、必ず月曜から土曜(休診日を除く)の午前中にお願い致します。
電話番号: 059-326-0054