口腔育成・予防矯正

口腔育成・予防矯正

口腔育成・予防矯正

治療より予防!

日本の財政状況を考えると、今の健康保険制度が維持できることはあり得ません。
その結果、病気になると今より負担金が大幅に増えます。
医療以外にも、例えば上下水道料金は維持コストがかさみ、今の数倍になると言われており、・電気代や食料などの価格も高騰することは間違いないでしょう。
今から予防に取り組んでおけば、医療にお金をつぎ込まずにすみます。そうすれば、より質の高い(QOLの高い)生活が可能になります。
つまり、予防に取り組むことは、健康ばかりでなく生活・人生をも左右することは、疑いの余地がありません。

予防矯正の意義

歯ならび異常の多くは、遺伝ではありません。
もし遺伝であれば、歯ならびの悪いお子様が増えることはありません。
しかし、現状は歯ならびの悪いお子様がどんどん増えています。
生まれてからの現代的な生活環境により、姿勢が悪くなったりお口の機能が正しく発達できないことが、歯ならびに大きな影響を及ぼします。したがって、逆にお口の機能を早期に正常な状態にすれば、歯ならび異常を防いだり、軽減することが出来ます。
虫歯や歯周病と同様、完璧な歯ならび治療(矯正歯科治療)は存在しません。つまり、「予防に勝る治療はない」のです。
良い歯ならびを実現し、それを長期的に維持するためには、少しでも早く予防的対策を始めることが重要です。
妊娠中、出来れば妊娠前から様々な取組を行い、なるべく矯正治療の必要のない歯ならび、もし矯正が必要になっても、簡単な治療のみで済むよう、アドバイスや訓練を行うのが、『予防矯正』です。
口腔育成は、この予防矯正の初期に行います。

口腔育成

口腔育成は妊娠前から

近年、妊娠中の母親の姿勢や骨盤の状態にも気をつける必要がある、と言う考え方もあります。

つまり、お子様が生まれる前から、もっと言えば妊娠を考えている時点から、すなわち
マイナス2歳から歯ならび異常の原因を作らないように心がける
必要があります。
これを 口腔育成 と言います。
三重県四日市市のさくら総合歯科では、以前から歯ならび異常の予防、即ち口腔育成に取り組んでいます。
それでは、どのように予防するかについて、以下にご紹介します。

復習:歯ならび異常の原因

・ 唇を閉じずにポカンと口が開いたまま口で呼吸
・ 舌の機能異常

・ 噛む回数が少ない
・ 姿勢が悪い
・ 寝相(うつ伏せ寝)
・ 悪いくせ(態癖) など
以上が歯ならび・かみ合わせ異常の代表的な原因です。
詳しくは、歯ならびが悪くなる原因はをご覧下さい。

原因を直すのが口腔育成

歯ならびに悪影響をおよぼすと思われるこれらの原因を早期に軌道修正するのが、口腔育成です。
これらの原因を修正するためには、これらがなぜ起こったかを考え、それに対してアプローチしなければ、歯ならびかみ合わせの異常は防ぐことができません。
今のところ、「これが原因だ」ということを証明する文献はありません。
しかし、ベテランの小児歯科医や助産師、熱心なベテラン保育士、発育発達を専門に見ている職種の人たちが、子どもたちの成長に悪影響を及ぼしていることについて、意見を交わし、現在情報が集約されようとしている段階です。
そして、さらにこの分野には一部の作業療法士や言語聴覚士も一緒に取り組む例も、見られるようになりました。

 

上に記載した原因を治すのは、実は大変です。
そこで四日市のさくら総合歯科では、生まれる前から様々なことに気をつけていただき、後々母子ともに苦労されないようにするための取り組みに力を入れています。

口腔育成の実際

悪い癖
歯ならびを悪くしないためには、
・原因となることを最初から行わない
・原因が既にある場合は、なるべく早くそれを除去・改善する
ことが必要です。
そのためには、下記のような習慣等に注意することが必要です。

・ 口呼吸ではなく、鼻で呼吸する
・ 舌の機能に異常があれば、修正する
・ 清涼飲料水の摂取制限(スポーツドリンク・乳酸菌飲料を含む)
・ よく噛んで食べる必要のある食材を与える(硬い物ではない)
・ ひとくちを少なめにし、よく噛んで食べる
・ 食事の最中に、水や牛乳を飲まない
・ 3度の食事の量をなるべく多くする(間食の与え方を工夫)
・ 前歯でかみ切る必要のある食材を選ぶ
・ 朝食を和食にし、しっかりと食べる
・ 態癖(悪いいくせ)を直す
・ 足指の異常を治す
・ 適切な靴の使用
・ 食事のは正しい姿勢で
赤ちゃんの育て方
・ 妊娠糖尿病にならないよう、妊娠中の食事に注意する
・ 骨盤に問題があれば改善
・ 妊娠時の座り方
・ 乳児の適切な抱き方
・ 乳児の適切なおむつ
・ 断乳を急ぎすぎない
・ 手づかみ食べをさせる
・ 適切な枕を使う

これらの取り組みをなるべく早期から開始することにより、歯ならび・かみ合わせの異常を防ぐことが出来ます。
取り組み開始が遅ければ遅いほど、それまでの成長の遅れを取り戻すため、様々な装置が必要となります。

口を閉じて鼻で呼吸する訓練

口を閉じる筋機能訓練MFT
街中でお子様の口を観察していると、多くのお子様が口をぽかんとあいていることに気付きます。
口が開いていれば、知らず知らずのうちに口で呼吸してしまいます。

 

発展途上国の子どもたちの写真を見ると、ほとんどの子が口をきちんと閉じています。
発展途上国では母乳で育てるしか選択枝が無い場合が多く、しかも栄養状態が良くないので母乳の出もよくありません。
そのため、乳児は一生懸命 唇と舌に力を入れて、母乳を吸い続けます。
その結果、知らず知らずのうちに唇と舌が訓練され、3歳になるまでに正しい舌と唇の機能が完成します。
ところが、先進国では断乳が早すぎたり、吸いやすい哺乳びんを使用するため唇と舌の機能が十分発達できず、その結果口を開けたままにしている子が増えているのではないか、と推測されています。
そこで、色々な運動や器具を使用して舌や唇を鍛え、正しい歯ならびになる環境を整える必要があります。

あいうべ体操

あいうべ体操
あいうべ体操は、福岡県のみらいクリニック(内科)の今井一彰先生が考案された、唇と舌の体操。
唇等を訓練する方法は数多くありますが、どれも面倒なためほとんどの場合長続きしません。
そこで今井先生は、とにかく実践できない理由をなくすため、極限まで簡略化し、どこでも出来る簡単な体操を考案されました。
簡単ではありますが、実際に行ってみると当初は唇や舌の筋肉が かなり疲れます。
しかし、根気よく継続することにより、唇や舌の筋肉が鍛えられ、唇と舌の筋肉の機能が正常に近づきます。
今井先生は、アトピーなどのアレルギー性疾患や、リウマチなどの自己免疫疾患などの治療(EAT(Bスポット療法))などの補助として、このこの体操を活用しておられます。
あいうべ体操は簡単ではありますが、効果を侮れない素晴らしい体操です。
当院では、お子様だけでなく大人の方にもオススメしています。(さくら総合歯科院長も毎日通勤の車中で行っています!)

ポカンエックス

口を閉じるためのポカンエックス
床矯正研究会が推奨している、唇でくわえる小判型の器具。
安価ですが非常に重要な器具ですので、矯正治療を行うお子様には一部を除いて必須と言えます。
慣れてきたら孔に糸を通し、それに携帯ストラップや5円玉等を結んで重りとすることにより、更に唇の力を鍛えることができます。

歩行訓練

息を止めて歩く訓練を行います。

リットレメーター

唇の訓練に使う器具
リットレメーター とじろーくん唇の力を測定する器具。
唇を鍛えるのにも使用できます。
唇を鍛える器具として、他に
・ とじろーくん
唇の訓練に使うパタカラ
・ パタカラ
などがあります。

インファント


口の中に入れ、遊び感覚で唇と舌を鍛えることのできる装置。
マイオブレイスと異なり、起きているときのみに使用します。
遊び感覚で使用する器具です。

悪い癖(くせ)を治す

・ 頬杖や横向き寝
・ 唇を巻き込む
・ 唇をすぼめる
・ 唇を噛む
・ 腹這いになって本を読む
・ 爪を噛む
・ 指しゃぶりをする
なども、歯なら・びかみ合わせの異常を引き起こします。
その他にも次に挙げる項目などが影響を及ぼします。

・ 舌で前歯を押す
・ ポータブル型ゲーム
・ スマホの使用
・ パソコンの使用
・ ショルダーバッグ
・ 横を向く時間が長い
したがって、これらについて必要があれば修正していただきます。

食事の改善

よく噛んで食べる


日本人が1日に噛む回数は、昭和初期に比べて約半分に減ったことは、歯ならびが悪くなる原因のページで説明した通りです。三度の食事をよく噛んで15分以上かけると、食後30から2時間くらい顔周辺の温度が上がり、活性化されます。
恐らく、それがあごの成長につながるのでは、と考えられます。そして、それが歯ならび異常の予防につながります。

清涼飲料水の制限

清涼飲料水(ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料)には多量の砂糖・ブドウ糖が含まれ、それを飲むことによりお腹がふくれ、その結果肝心の食事の量が減ってしまいます。
当然ながら、1日に噛む回数も大幅に減少します。
著名な管理栄養士 幕内秀夫氏は、子どもの健康を悪化させている最大の原因は、清涼飲料水とスナック菓子であると主張しておられます。
歯ならびをよくするためにも、水分の摂取はお水か麦茶・番茶のみにすべきです。

食事中に水を飲まない

現代の子どもが噛まなくなった重要な理由として、食事中に水を飲むことがあげられます。
かつて、食事中には水やお茶を飲む習慣はありませんでした。しかし近年、食事中にコップを置く家庭が増え、その結果よく噛まずに水で流し込む癖がついてしまった子が多いようです。

前歯でかみ切る必要のある食材の選択


小さな食材は、前歯でかみ切る必要がありません。
あご(特に上あご)の発育を促すためにも、乳歯が確りしているうちに前歯で噛む必要のある食材を与えることも重要です。

正しい姿勢で食事

{ダメな食事の与え方}
食事中の姿勢も重要です。
足がしっかりとつく状態で、姿勢よく食事をするよう心がけましょう。

Vキッズ

Vキッズとは

Vキッズ(V kids)は口腔機能育成装置です。この装置はあくまで一時的に使用する物で、それをきっかけに健康的な発育を促す目的で使用されるものです。
歯ならびの治療目的で使用するものではありません。
治療を嫌がる子どもたちに前向きになってもらうきっかけとして、さくら総合歯科ではたまにこの装置を使用します。
今は亡き歯科医師目良誠先生が、子どもたちの体の機能の退化に気がつかれ、その改善に使用されたのが始まりです。
目良先生は歯科医師としては変わり種で、普通の歯科診療を行わず、発展途上国で恵まれない子どもたちと長い間接しておられました。
口腔育成に使うVキッズ
生きるか死ぬか、厳しい環境下で力強く育つ子どもたちを目の当たりにしてきました。
そんな、他の歯科医師には真似の出来ない貴重な経験をされた後、日本に帰国し、日本の子どもたちの体の機能が昔に比べて劣ってきていることに気付かれました。
その改善のために考案されたのが、口腔育成装置「Vキッズ」です。
Vキッズは矯正装置ではありません。あくまで口の機能を改善する装置で、就寝時のみ装着します。

どんな効果があるの?

Vキッズを装着したお子様の保護者がよく言われることは
「いびきをかかなくなった」
と言うことです。
つまり、就寝時の呼吸が改善されるのです。その結果、睡眠の質が向上すると考えられています。
ところが、装着の効果はそれだけではありません。多くのお子様は、姿勢が改善されます。
なぜ姿勢がよくなるかは証明されていませんが、歯科医師の間ではおそらく呼吸の改善によるのでは、と考えられています。
永久歯が生える前に使うことにより、お子様自身の成長する力を引き出します。
現代の子どもたちの多くは、お口の中が狭くなっています。歯の内側には、生きていく上で極めて大切な「舌」があります。
その舌が収まるべきスペースは、「ベロ(舌)の部屋」と考えることが出来ます。
ベロの部屋が狭ければ、舌は後下方に押し出され、気道を圧迫します。
起きているときは頭の位置を調節することで対応しますが、その結果姿勢が悪くなります。
仰向けに寝ていると、舌が重力で沈下し、気道を狭くします。
その結果いびきをかいたり、ひどいと「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」になることさえあります。
呼吸の状態が悪化すれば
・ ボーッとしている
・ 落ち着きがない
・ 寝起きが悪い
などの多様な症状を示します。
Vキッズを就寝時に使用すると、「ベロの部屋」が広くなり、舌が楽になり、呼吸の改善により上のような症状が軽減される場合があります。
また、運動機能・理解力・発音などにも好影響を与える場合があります。

子どもの運動機能不全症

近年、ベテランの保育士さんが「今の子どもたちは何かおかしい」と危機感を持ち、熱心な保育士さんはその改善のため、色々な講習会に参加されています。
ロコモティブシンドローム(略してロコモ)とは、加齢に伴う筋力の低下や関節・脊椎の病気、骨粗しょう症などが原因で運動機能が衰えることを言いますが、近年子どもたちがこのロコモと同様の症状を示すことが問題視され、ニュースでも取り上げられています。
Vキッズは、子どものロコモの改善にも一役買います。
Vキッズに関しては、VkidsのHP を参考にして下さい